歴史に刻まれたダイヤモンド(2) ダリヤ・イ・ヌール(Darya-e Noor)とヌール・ウル・アイン(Noor-ol-Ain)
古くから多くの人を魅了してきたダイヤモンド。その中には伝説的なエピソードを纏ったものも少なくありません。歴史に刻まれたダイヤモンドをピックアップしてみます。
今回はダリヤ・イ・ヌール(Darya-e Noor)とヌール・ウル・アイン(Noor-ol-Ain)です。
「ダリア・イ・ヌール」はペルシャ語で「光の海」という意味で、182カラット(36.4g)もある世界で最も大きなピンクダイヤモンドです。
前回、取りあげた「コ・イ・ヌール」と同じく、インドのゴルカンダ地方で採掘されたものと推定され、当初はムガール帝国の皇帝が所有していました。その後、18世紀になるとペルシャに運ばれ、この名が付けられたのです。
現在はテヘランにあるイラン中央銀行の国立宝石博物館に所蔵されています。
イランの国立宝石博物館の「ダリア・イ・ヌール」
https://en.wikipedia.org/wiki/Daria-i-Noor
また、「ヌーロ・ウル・アイン」はペルシャ語で「光の目」という意味で、60カラット(12g)ある世界で2番目に大きなピンクダイヤモンドです。
実は「ヌーロ・ウル・アイン」は、「ダルヤ・イ・ヌール」と同じ原石から切り出されたと考えられており、2つのダイヤのもととなった当初の原石は400カラット(80g)ほどあったようです。
「ヌー・ロル・エイン」は1958年、ハリー・ウィンストンによって当時のイラン王女のティアラにセットされ、こちらも現在はイラン中央銀行の地下にある国立宝石博物館に展示されています。
「ヌール・ウル・アイン」がセットされたティアラ
https://en.wikipedia.org/wiki/Daria-i-Noor#/media/File:Noor-ol-Ain_tiara.png
ところで、なぜこうした貴重な宝石がイラン中央銀行に保管されているのかというと、国家の通貨制度が関係しています。
国家が通貨を発行する際、その価値を裏付けるためにかつては金が利用されていました。いわゆる「金本位制」です。
戦後も最後まで金本位制を続けていたアメリカが1971年にドルと金の交換を停止し(いわゆる「ニクソン・ショック」)、いまでは金本位制をとる国はなくなりました。それでも最近は基軸通貨であるドル離れが進む中で、金を保有する国が増えています。
それと同じで、イランでは国が発行する通貨(リヤル)の価値を裏付ける担保として、ペルシャ帝国の時代から引き継がれてきた数多くの宝石類を中央銀行が保管しているのです。
なお、イラン中央銀行の国立宝石博物館の宝石類は一般公開されており、見学することが可能です。
https://jp.trip.com/travel-guide/attraction/tehran/treasury-of-national-jewels-136265353/?locale=ja-JP&curr=JPY
ライフジェムジャパン
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